24場で唯一、河川を利用したレース場で、潮の向きや速さが常に変化することで水面条件が安定せず屈指の難水面として知られる。

以前はインの強さが目立っていたが、減音型になってからは何でもアリのレース場に変化。昨年6月にヤマト321型になってもその傾向は続いている。

「追い風はイン有利」というセオリーが当てはまらないのも江戸川。風+潮の影響でスタートが他場より早くなる江戸川では、様子見のスタートになったり、用心した分スリットで立ち遅れたりする場面もしばしばある。特にインの選手はその傾向が顕著だ。逆に、向かい風だと思い切って踏み込める分、スタートが決まって逃げ連発となる日もある。

また、潮と風がぶつかると水面が荒れて枠やモーターより選手の波の巧拙が重要になる。荒水面ではボートの “かぶり度合い” も選手によって違うが、その差が数字に表れる展示タイムは舟券予想の参考になる。

モーターは6月から約7ヵ月使われているが、パワー差が大きいというのが選手間の評判だ。特に伸びで好モーターと差を感じるという声が多く聞かれる。また、低勝率でも上位級になる急上昇モーターがあり、特に「40」号機は、高勝率機とも互角以上の動きだ。近況の気配というのもしっかり確認しておきたい。




江戸川は、1号艇から売れる傾向が強いが、以前ほどインが利かないうえに接戦番組も多く、パワーに乏しい好枠勢を過信するのは危険だ。逆にスリットからグイグイ伸びて行くような選手がいるレースでは、枠番不問でその選手が攻めの基点になることが多い。

江戸川では、捲る選手はスリット後に内を絞る傾向が強く、捲り艇の外にいる選手との“セット券”もかなり有効だ。捲りマークから差し抜けての裏目千両や、意外な伏兵が3着に絡んで大穴というのもよく見かける。高配当を狙うなら手広く狙いたいところ。特にレース足や乗り心地がきていると話す選手は、展開的に不利と見ても決して軽視は禁物だ。

今回の関東地区選は、ホーム1マークから2マークへの「下げ潮」主体のなかでのレースとなるが、シリーズ序盤のホーム2マークから1マークへの「上げ潮」のときや、季節外れの南風が強めに吹いたときは水面が荒れる可能性がある。

少々の荒れ水面なら内枠有利の形になることが多いが、周回を短縮するほど水面が大きく荒れた場合は、パワーや枠番不問で波巧者が存在感を示すことになりそうだ。




地元地区の実力者が揃っているなかでも、やはり特筆すべきは石渡鉄兵だろう。

昨年は、周年、お盆の大江戸賞を含めて5回出走して優勝3回。江戸川のスタートや調整も手の内に入れており、江戸川の絶対的エースとしてファンからの信頼は厚い。水準以上のモーターさえ引ければ、賞金王シリーズ戦優出でリズムも上々だし、好勝負は必至だろう。

同じ千葉の作間章も、昨年の江戸川では正月レースで優勝するなど34走して2連率76%と抜群の安定感を見せた。

この2人とも地元意識が強く、荒れ水面を苦にしないのも頼もしい。

波巧者という観点で見れば地元の熊谷直樹高橋勲も目が離せない存在で、レース巧者が揃ったこのメンバーのなかでも荒水面のこなしは一枚上の印象だ。

また、東京支部以外では中澤和志秋山直之といった歴代の関東チャンプも水面相性は上々だ。

ちなみに、賞金王決定戦を劇的な捲り差しで制した山崎智也も、江戸川のGIでは好歴を残している。


(瀬戸理嗣/ファイティングボート ガイド・記者)