プロペラ制度が変わって初の地区選である。ここ数年の間、江戸川ではレース環境がガラリと変わった。耐震護岸工事もあった。ホーム側の広さは変わらないものの、バック側は5m幅が狭くなった。水の流量が同じで、川幅が狭まれば、流速は速くなる。スタートとターンに微妙な影響を及ぼす。選手は、頭の中で変化を理解していたとしても、刻々と変わる水面下の状況には体感で対応するしかない。 

モーターも変わった。波に負けないような江戸川仕様のモーターとボートを使用していたが、モーターに関しては全国統一の方向に従った。加速性能の良い標準型モーターが減音型に変わりパワーダウン。さらに空中排気部分のニップル径が9.5mmから4mmになり、さらにパワーダウンした。その結果、「江戸川はインから順番に買っておけば良い」という公式が崩れることになった。これまでの考え方を変えないことには、江戸川の3連単を攻略できない。



標準型モーターの頃と比較するとモーターのパワーが弱くなり、風と流れの影響を受けやすくなった。

新モーターになってからのデータでは、1コース1着率は40.6%だが、ホーム向かい風(北風)が5mを超えた条件下では1コース1着率が33.3%まで下がる。2コースも同じように1着率が下がり、逆に3コースから5コースまでの1着率が上がる。特に5コースの1着率は7%もアップである。ここまでは向かい風のデータだが、下げ潮(向かい潮)でも同じようなデータが出るはず。今回の関東地区選を開催する時期は、北からの季節風が吹くことが多い。いくら一流選手が揃っているといっても、自然の力は勝てない。積極的に3・4・5コースを絡めた3連単を買うことを奨めたい。




江戸川で特別競走を開催するときは、潮回りを計算に入れて日程を決める。基本は潮の流れと風である。潮の流れと風がぶつかると水面が荒れる。それを避けるように日程を組む。

今回の地区選は午後から干潮時間を迎えるので、基本は下げ潮になる。下げ潮になるとターンの初動位置が変わる。1マークは遅れ気味にハンドルの初動を入れ、2マークは早めに初動を入れる。そのタイミングに経験値の差が出る。周回展示で1マーク、2マークを外さずにターンをする選手を探すことがポイントだ。

実戦のターンでも、先行艇の内側に滑り込ませるようなターンをする選手が江戸川で好成績を残す。石渡鉄兵はもちろんだが、飯島昌弘のターンが基準になる。飯島スタイルに近いターンをしていれば、江戸川水面の攻略ができる選手という判断をしても良い。そうした選手を初日に見つけ出せれば、シリーズを通じて「買える選手」「買えない選手」の色分けができる




女子選手が江戸川で走れば、ターンマークを外さない選手が勝ち上がってくるが、男子選手だと事情が違う。誰もが同じようにターンマークに殺到して小回りで抜け出そうとするが、江戸川で実績を残している選手に共通するのは、全速で攻めることのできる選手である。

要するに、他艇が殺到して密集するターンマークの際を避けてスピードで攻める選手が好結果を出す。特に下げ潮、向かい風ならこの傾向が強くなる。その場合、インへのこだわりをどこまで捨てられるかがポイントになる。3・4・5号艇を絡めた “ボックス買い” が有効だろう。


(マンスリーBOAT RACE・データ室)