ポイント1: 「江戸川はインが弱い」ことを認識すべし!!
江戸川の舟券と言えば、「1から、2か3を相手にすれば獲れるんじゃないの?」と、いまだに軽く考えている人は意外に多いのではないだろうか…。

昨年も同時期の6月に開催された前回大会。シリーズ全72レースで、1枠が勝ったのは28回。1着率は38.9%。ちなみに直近1年間の江戸川1コースの1着率は37.5%。イン勝率としてはごく標準の数字だ…と思っていたら、調べてみるとなんと全国で“19番目”というから驚きだ。

直近1年間のイン勝率が40%を超えるレース場が、全体の3分の2にあたる16場もあった。これには、例のシード番組乱立の影響が少なからずあるのだが、それでも“かつての江戸川”を知る者として「江戸川のイン勝率が全国第19位」という驚愕の事実には、感動すら覚える。

その前回大会で面白いように決まったのが、捲り差しだ。2日目には、朝の第1レースで6コース捲り差しが決まり3連単で2万円台の配当が出たのを皮切りに、続く第2レースは5コース捲り差しで4万円台、第3レースは最終日に優勝を果たすことになる重野哲之(静岡)がイン逃げを決めたが、2着に捲り差し追走の6枠が入り9千円台。そして第4レースはやはり5コースからの捲り差しが鮮やかに決まり7万円台…。

まるで倍々ゲームのように高配当が続出した背景には、地元以外の(場外や電投)ファンがいまだに「江戸川はインが強い」というイメージを捨て切れないことが、全国発売となってオッズに現れたようだ。舟券検討に迷いはつきもの。センター勢に狙いを定めたが、「江戸川の記念なら…」とついインを押さえて買ってしまうことになる。今回もその傾向を見せるようなら、躊躇なく1枠を3連単から外すことだ!

とは言え、何でもかんでもインを捨てていては勝てない。弱くなってもインは今でも3回に1回は勝っている。では、どんなインが危なくて、そのときにどんな選手を買えば良いのか。そのカギを握るのは「スタート」である。江戸川でインが負けるパターンは、自身がスタートで立ち遅れるのは当然だが、たとえ自身はしっかりスタートを決めても2〜3コースが遅れる、いわゆる“中へこみ”展開が非常に多い。

2〜3枠にスタート力のない選手、そのシリーズでスタートが決まっていない選手などが並んでいたら「インは危ない」と見るべきだ。そこで登場する“勝者”も、やはりスタートを決められる選手が有力になる。新ペラ制度になってスタートにバラつきが多く見られる現在、絶対的なスタート力はますます強力な武器となる。

ポイント2: スタートに自信の山田哲、石渡が主役の走り

「スタートが早く、捲り差しが得意な選手」で、ピンと来るのは山田哲也(千葉)だ。
4月の丸亀で早くも今年5度目の優勝と固め打ち。地元の記念となると気合もハンパではない。
今回は枠に関係なく舟券は1着限定で追いかけたい。

地元と言えば、“江戸川テッペイ”こと石渡鉄兵(千葉)も頼もしい存在。5月の当地GW戦でもスタートをバンバン決めていた。ただし、準優では1号艇でまさかの立ち遅れで5着敗退。汚名を返上するには、2年ぶりのタイトル奪取しかない。

その他の地元勢では、桐生周年で待望のGI制覇を達成した齊藤仁(福岡)や、これに刺激を受けてGI初優勝を狙う山田竜一(東京)の両者も、最近は迫力満点のスタート戦を展開中だ。

江戸川を制するのにもう1つ大事なことは、江戸川独特の荒波をいかに乗り切るかで、日本一の難水面と言われるだけに、得意・不得意がそのまま選手の成績に現れている。

前出の石渡の他にも、3度のGI優勝がある熊谷直樹(北海道)、湯川浩司(大阪)や、GIを含み4優勝の飯島昌弘(茨城)と得意な選手は何度も栄冠を手にしている。

飯山泰(神奈川)、中澤和志(宮城)、秋山直之(群馬)と相対的に地元・準地元勢が好成績を残しているが、遠征勢で湯川に続くのは平尾崇典(岡山)、横澤剛治(静岡)、永井源(愛知)、君島秀三(滋賀)、そして前回覇者の重野だ。

前々回の優勝戦1号艇で01のフライングに散った馬袋義則(兵庫)も今やSG覇者だが、当地通算勝率では出場中ワースト4位と意外に低調だ。


(松長 彰/マンスリーBOAT RACE・デスク)