ポイント1: 江戸川=「イン」のイメージは捨てよ!

江戸川は全国で唯一、全面的に河川で行われるレース場だ。上げ潮、下げ潮と流れがあるため、無風でも水面はポチャついたまま。航行船が通ると引き波が残り、選手からも「ベタ水面なことはないし、江戸川はとにかく乗り心地を重視」という声が多い。スタートも特訓と本番の気象条件が同じことは少なく、全速で行き切れないのが実情だ。

江戸川と言えば「イン」というイメージは捨てた方が良い。減音型モーターになってからは“何でもあり”のレース場に変身している。もちろん大外が遠いのは変わらずだが、伸び重視のセッティングの選手がバチッとスリット線を駆け抜けて高配当を提供することもある。

記念クラスになるとスタートはそうバラつかないだろうが、3着率に限れば1コースから6コースまで差はない。また、1マーク、2マークの流れが正反対となるため、しっかりターンマークを外さずに回ることが重要になる。当地が久々の選手は、このことを忘れていることが多い。

GI江戸川大賞開催期間中の潮回りは、前検日は下げ潮。初日〜3日目は後半レースが下げ潮。4日目以降は前半レースに下げ潮が入ってくる。風向きはおそらく南の追い風。上げ潮と下げ潮がぶつかる時間帯のときに走る選手の波水面の巧拙チェックは欠かせない。

ポイント2: モーターは初下ろし2節目。展示注目!

新プロペラ制度になり、全国どのレース場でも同じだろうが、上がりタイムが2秒以上遅くなっている。GI江戸川大賞は新モーター2節目となるが、その新モーターは、全国統一のデカカバーとなる。「そっちの方が良いと思う」と声は多い。

初下ろしは6月13日からのオール女子戦。GI江戸川大賞では一度も使われていないモーターも登場となり、本体のパワー差は未知数。モーターの優劣は展示タイムが一つの判断材料になるが、江戸川の場合、水面次第ではボートにかぶれない(伏せ込めない)選手も出てきて、参考程度にもならない可能性がある。

新プロペラは、前回のモーターのときに3節ほど使われているが、全く使われていないプロペラももちろんある。良いモーターとのセットだったプロペラがそのまま、新モーターでもパワーを引き出すのか、結局は新モーターの見極めが重要になる。

GW開催を走った石渡鉄兵は「基本的に調整は(今までと)似た感じで行けた」と。他選手からは「このプロペラじゃ波に負ける」という声もあったが、プロペラが原因なのか、モーターなのかは分からず、記念級選手の調整力が試されそうだ…。

ポイント3: 「江戸川鉄兵」が気にする荒井、平尾!

全国屈指の難水面だけに走り慣れた地元勢が有利。まず石渡鉄兵の名前は外せない。55周年では地元ファンも待ち望んだ江戸川GI初制覇。波を乗りこなす技術に加え、地元意識も人一倍。荒水面を縦横無尽に駆け抜ける姿こそが「江戸川鉄兵」の真骨頂だ。

その石渡に今回のGI江戸川大賞で気にかかる選手を聞くと、真っ先に名前が上がったのは荒井輝年。次に、平尾崇典。「モーター出す。それも伸び型、出足型と両方ができる。児島の選手は合うのかも…。僕も児島は合う方ですから」。その平尾は当地連続優勝中だ。

52周年、54周年、そしてダイヤモンドカップと、当地で3度のGI制覇がある湯川浩司にも注目だが、減音型モーターに仕様が変わってからは以前ほどの快音は聞かれない。前回大会の覇者・重野哲之も当地では仕上がりが早い印象。波巧者という観点から見れば永井源横澤剛治秋山直之らは水面が荒れれば枠、機力を度外視して狙ってみたい存在だ。石渡以外の地元勢では熊谷直樹、そして石渡の弟子である若林将も期待度は高い。

(脇阪 匡/ファイティングボート ガイド・記者)