24場屈指の難水面として知られる江戸川は河川に競走水面があり、航行船が通った後にはその引き波の影響が残ることもしばしばだ。また、常に潮の流れが存在し、風向きと潮の流れがぶつかる時間帯になると、水面がポチャつくことも少なくない。選手も、得手不得手が他場に比べてはっきり分かれており、特に荒れ水面になったときは、展示航走での乗艇姿勢などからも波乗りの巧拙が推理できる。

また、刻一刻と潮が変わる影響でスタートの難しさも全国屈指だ。波の中でも安心して握れる乗り心地はもちろん、スリット近辺の舟足も江戸川では大切になる。

以前はインが強いイメージがあったが、減音型モーターになってからは何でもありの水面に変化している。6月にモーターがヤマト321型になってからも、その傾向は変わらない。

1マークが狭いぶん大外は少し遠いが、内枠の選手が舟足に不安を残すようなレースではパワー上位の選手が外から展開を突いて浮上する場面もある。また、1マークと2マークでの潮の流れの違いに戸惑い、レバー操作をミスした選手を、水面特性を熟知した選手が逆転する場面も多く見受けられる。




6月にヤマト321型(通称デカカバー・改良型)のモーターに仕様が変わったが、新プロペラ制度の影響もあるのか、基本的には以前と変わらず、パワーのないモーターはインでも苦戦する傾向だ。
まだ完全には機力相場が固まっていないが、上下の機力差は大きい印象で、伸び型の調整をしたときに実戦足も兼備できるようなモーターは数えるほどだ。

モーター番号でいえば、お盆開催で石渡鉄兵が「これがエース機」と断言した「49」を筆頭「56」「23」が抜群級の評価。「45」「12」「17」「25」なども上位級に仕上がるポテンシャルを秘めている。




風や潮の水面条件で舟券作戦も変わるが、開催中の潮の流れはシリーズ序盤から中盤が中潮、後半は小潮と徐々に潮位差が少なくなる。水面が荒れるとすればシリーズの序盤の方か。

また、節間を通じて日中に干潮を迎えるため、前半はベタでも後半は荒れ水面というケースも出てきそう。風と潮がぶつかる条件になればコース、機力不問で波巧者を絡めた舟券が面白い。ベタ水面のときはやはりモーターパワー重視の舟券が正解だろう。

以前ほどインが利かなくなっても、舟券の売れ筋はやはりインからの傾向が強い。従って、気配劣勢のインは思い切って消すのもありだ。また、3着はデータ的にどの枠番でも似た数字が残っている。江戸川の3連単は3着を手広く買うことで思わぬ穴が引っかかることも多い。

ちなみに、これまで江戸川の「個性」を踏まえて、今シリーズの中心選手を挙げれば、やはり“江戸川テッペイ”こと石渡鉄兵だ。新プロペラ制度になってからはGW開催こそ準優1号艇で敗退も、6月周年、8月大江戸賞と共に節イチ級に仕上げて優勝。難水面の走り、当地での調整、潮の流れを読んだスタートと、江戸川への対応力は右に出るものがいない。石渡の調整に応えてくれるモーターを引きさえすれば、間違いなく優勝戦線に顔を出すはずだ。

石渡以外では、熊谷直樹三角哲男飯山泰らの東京支部勢を挙げておきたい。優勝すれば来春3月の平和島・SG総理杯の切符も手に入るだけに、権利を持っていない地元勢はモチベーションも高いはずだ。


(瀬戸理嗣/ファイティングボート ガイド・記者)


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